■スバル+ルナ    「強情」■



★流星1(ゲーム設定)★

スバルと委員長軍団が出会って間もないころのはなし。
不登校時のスバルとルナのかけあいが書いてみたくて出来たもの。

だからカップリングというワケではないのですがスバルナちっくです。

ロックマンとスバルの違いをみせるために、
今回のスバルにはちょっと情けないコになってもらいました。(爆)

こういう展開は見ていてすっごく笑えます。














「おはようございまーす!」      





「あら委員長さん、おはよう。いつもありがとうね。」
「いいえ。これもスバル君のためですから!」
     


「ホントしっかりしてるわねえ。それにひきかえあのコったら今日はまだ寝てるのよ・・・。」     


「むむむう・・・。起こしてもいいですか?」
「・・・そうね。お願いしちゃおうかしら。」



どたばた・・・。

スバルの母・あかねの了解を得るやいなや階段を駆け上がり、
勢いよくスバルの部屋に飛び込んでいく。
    






「起きなさい!学校へ行く時間よ!」     




「うわあーーーーッッ?!」     






「あらあら、スバルったら嬉しそうに叫んじゃって♪」     

「・・・(汗)あの、明らかに楽しんでません・・・?」
「ひでぇ母ちゃんだなあ。」
    
「うふふ♪」


2階からはなおもスバルとルナの叫び声やら、 激しい物音やらが響いてくる・・・。
    


「さあ!始業ベルまであと40分よ、早く着替えて!」
「何するんだよ、いきなり布団ひっぺがすなんてあんまりだ!」




どすん!     




「ずうずうしいにもほどがあるよ!キミは・・・」
    
「あなたの服はどれ?コレでいいの?」
「ああっ!勝手に洋服ダンスをあけるなよ!」



ばたん!     



「通学カバンはどこ?すぐ出せるところに置いとかないとダメよ。」
    
「ちょっ・・・、うわ!それにさわるなよ!」
「もう、うるさいわねえ!さっさと着替えなさいよ!」
    



「着替えるから出てけ〜〜〜〜ッッ!!」




がっしゃーん!




なんだかんだやっているあいだに・・・タイムアウト。
結局今日も“星河スバル連れ出し計画”は失敗に終わった。
    




「ああん!もうちょっとだったのに!」
「今度は大丈夫ですよ、委員長!」
「頑張ろうぜ!」
「明日こそ学校に連れていくわよ、みてなさい星河スバル!」




気合いを入れる委員長軍団。
スバルの受難はまだまだ続きそうだ・・・・・。
    

「母さん!」     


「なあにー?」
「なにじゃないよ!どうしてあのコを家に入れたりするのさ!」
「あらら?もしかして何か恥ずかしいものみられちゃったの?」
「違うっっ!そうじゃなくて、ボクがあのコたちのことを
イヤがってるのがわかんないのかって言ってるの!」
    

「・・・・・わかんない♪」
    
「あ、あのねえ・・・・(汗)」
    


「だって、なんだかんだ言って楽しそうなんだもの。
あのコたちは今まであなたを連れだそうとした先生たちとは違うでしょ?」
    
「そ、そりゃそうだけど・・・。」
「あーんな可愛い女のコに起こしてもらえるんだからいいじゃないの♪」
    
「いくら美人でもこっちからお断りだよあんなキツイ女!」
「好みじゃないの?」
「て言うか興味ないよ、女のコなんて!」
    


「そうなの?ほんとに?」
「ウソ言ってどうするのさ。」
「つまんなーい。あんなコがスバルの彼女になってくれたらいいのに。」
    


「じ、冗談言わないでよ!ボクにも選ぶ権利はある!」




ふてくされてしまったのか、スバルはそのまま部屋に戻ってしまう。
部屋のベッドに横たわったまま星の図鑑を広げる。
    



『さすが母親だな。スバルのことよくわかってんじゃねえか。』
    
「・・・なんだよそれ。」
『あのムスメといるときのオマエ、確かに楽しそうだもんな。』
「ウォーロックまでそういうこと言うの?正直あのコには迷惑してるんだよ。顔も見たくない。」



ウォーロックの言葉が気に障ったのか不機嫌そうに図鑑をめくるスバル。
しばらく図鑑をながめていたが、ふと思い立ったように起き上がる。
    



『お?どうした?』
「買い物に行こうと思って。」
『オマエ、機嫌悪いときってホント落ち着きねえよな。』
    
「・・・うるさいなあ、ボクの勝手だろ。」




コダマタウンにあるショッピングデパート。
その一角にある大型の書店内で目当ての雑誌を手に取るスバル。
店内には立ち読みをしている人も大勢いたがスバルはあまり立ち読みはしない。


スバルにとって買い物は目当てものがあってこそ成立するのだ。
素早くレジでの会計を済ませ、店の出口へ向かおうとした、そのとき。
    




「あら、スバル君じゃない。」     



「・・・・・・・(うわ、サイアク。)」




露骨にイヤそうな顔をしたスバルの前に立っていたのはもちろんルナだ。
学校帰りなのだろう、通学カバンを持っている。
    



「今日は短縮授業だったの。もう学校終わっちゃったわよ。」
「ふ、ふうん・・・・。」




適当にあいづちを打ってその場を去ろうとするが
ルナがそうやすやすとスバルを逃がすわけがない。
    


「ねえスバル君、ちょっと来てくれない?」
「え?」




ルナの異様に明るい笑顔が怖い・・・・。     






「ちょ、ちょっと・・・コレ何?」     


「ちょうどいいところに来てくれたわ。
今日はゴン太もキザマロも用事があって連れてこれなかったのよ。」
「だからってなんでボクがキミの買い物につきあわなきゃならないのさ。」
    
「なによ、あなたこーんな重い荷物をレディに持たせる気?!」
    
「だったらこんなに買わなきゃいいじゃないか!」



ルナの買い物荷物を両手に抱え、不満いっぱいのスバル。
かかわりたくないことこのうえないのにまたも彼女のペースだ。
    




「しょうがないわねえ、じゃあ今日はこれくらいにしましょ。」
「はあ・・・冗談じゃないよもう・・・。」






ふたりそろって下りのエレベーターに乗りこむ。
ゆっくり近づいていく眼下の景色。
窓の外を眺めるスバルに静かに問いかけるルナ。
    



「スバル君、学校はキライ?」
    
「・・・別に。」
「じゃあどうして来てくれないの?」
    
「キミには関係ないよ。」
「ホント冷たいわねえ。教えてくれたっていいじゃない。」
    


「・・・・・・・・・。」



そのままダンマリになってしまうスバル。
ここで登校拒否をしている理由を打ち明けるということは
ルナに対して少なからず絆が生まれるということ。



学校に行って友達を作ったとしても同じことだ。



他人とのかかわりはできる限り持ちたくない。
だから、学校にも行かない。



自分に歩みよってくるルナの存在が煩わしくて仕方ない。     




「もう、黙ってないでなんとか・・・・きゃあ!」





ルナの言葉を遮るようにエレベーターががくんと大きく揺れる。
そのまま停止してしまったエレベーターの中でふたりは顔を見合わせる。
    


「やだ、何?なんなの?」
「地震かな、とにかく外に連絡しなきゃ・・・」



スバルはエレベーターに備え付けてある緊急連絡用のボタンを押し、
管理局と連絡を取る。
    



「すみません、エレベーターの中に閉じ込められてしまったんですけど。」     

「ああ!すみません!すぐエレベーターを動かしたいんですけど
電波ウイルスにシステムをやられてしまって復旧に時間がかかりそうなんです・・・・・!」     

「で、電波ウイルス?!」
「ちょっと今、復旧の目途がたたない状況で・・・」
    
「ええっっ?!」



管理局員も落ち付きのないようすだ。
ここは復旧まで大人しく待つしかない。
仕方なくエレベーターの中に座りこむスバル。
    



「復旧の目途たたないって。・・・待つしかないね。」
「ああもう!なんでこうなっちゃうのよう!」





不満と怒りをあらわにするルナのそばで座りこんだまま頭を抱えるスバル。
どうしてよりにもよって苦手なルナと一緒に閉じ込められてしまうんだろう。
     



「・・・過ぎたことをぎゃあぎゃあ言っても仕方ないわね。
いい機会だわ、エレベーターの復旧までじっくり話をしましょ。」
    



「ボクは話すことなんて何もないよ。」     




「私はいっぱいあるのよ!いいから聞きなさい!」     

「はぁ・・・・・。」




・・・・スバルにとっては拷問にも等しい。
早く動かないかと心の中で祈り続けるスバル。



ルナの話は長々と続く・・・・・・。
    



「もしかして復学したらイジメられないかって心配なの?
大丈夫、私たちのクラス5年A組はとっても仲がいいんだから。
友達だってすぐに・・・ってちゃんと聞いてる?」
    


「もうやめてよ。キミがなんと言おうとボクは学校には行かない。」
「強情っぱりねえ!せめてこっち向きなさいよ!」
         


「わ!ちょ、まって・・・!」



スバルの肩を手前に引き寄せようとしたルナの手をはねのけ、
たまらずそのままうずくまってしまうスバル。
スバルのちょっとおかしい態度にルナは疑問を覚える。
    


「・・・どうしたの?」

「べ、別に・・・・」
「どこか痛いの?」
    
「な、なんでもないってば!」



明らかに挙動不審なスバルに苛立ちを覚えたのか
ルナはスバルの前に回りこんで怒鳴る。      



「あのねえ!いくら私のことがキライだからって体調不良まで隠すことないじゃない!」
「ち、違うよ、ホントに・・・」




なおもルナを拒み続けるスバル。
内心かなりショックだったのだろう、少しなみだ目になってしまうルナ。
    


「・・・わかったわよ。もう知らない。」
「た、体調が悪いわけじゃないんだ。だから・・・」




ちょっと罪悪感を感じたのか、スバルはフォローを入れる。
少し恥ずかしそうにどもるスバルをみて、ルナはあっとなる。
    




「あ、もしかして・・・・お手洗い?」
    

「・・・・・・・!」





ルナに図星を突かれ、スバルの顔はみるみる赤くなる。
実はルナのショッピングに付き合っているときからなのだが
内気なスバルはずっと言い出せずにいたのだ。
    



「や、やだ、ホントに?」     


「・・・・・・・・うん。」
    
「こ、こんなとこで・・・だ、だめだからね!」
「わ、わかってるよう!」




・・・とは言ったものの、今のスバルにはあまり余裕がない。


時間が経つにつれ額に脂汗がにじむ・・・・。
    



「(ああ、ここにこのコがいなかったら電波変換して外に出てるのに・・・)」
    
「ねえ、上から外に出られないかしら?」
「え?」
「なんだか復旧を待ってる余裕なさそうだし、やってみるわ。」
「だ、だめだよ、ここかなり高いし危ないよ・・・。」
    


「平気よ。私これでも運動神経いいほうなんだから。」
「・・・・・・。」




ルナはそういうが、彼女の装いはミニスカートにピンヒール。
どうみても活動的なものではない。

それでもルナは手すりに足をかけ、なんとか天井の蓋を押し上げる。
しかし天井は高く、とても登れそうにない。
    



「う〜ん・・・。まいったわねえ、ちょっと厳しいかも。」
「やっぱりボクが登るよ。キミは待ってて。」
    
「動いて平気なの?」
    
「う・・・・(汗)」
    

「じゃあ肩貸してちょうだい。それで登れそうだわ。」
「う、うん・・・。」




言われるままにルナを肩車するスバル。
しかしよろよろしてしまい、なかなかうまくいかない。
    



「ちょ、ちょっとヘンなとこ触らないでよ!」
「そ、そんなこといったって・・・」
「もう、男のコでしょう!もっとしっかりあげてよ!」
    

「あ、あんまり力むとヤバそう・・・・(汗)」
「ああもう、役立たずっっ!」




ぎゃあぎゃあ言いながらも何とかルナは天井によじ登る。
エレベーターの外側に出て、非常用のはしごに手をかけようとした、そのとき。

復旧作業が終わったのだろう、がくんと降下しはじめるエレベーター。
ルナはバランスを崩し、そのままエレベーターから落下してしまう。
    



「きゃあああっっ!」




落下していくルナのあとから一筋の光が追ってくる。
光がルナのそばで弾けるとその中からルナを抱えたロックマンが姿を現す。     



「・・・・・あ、あなたは・・・!」
「大丈夫?」
    



「ロ、ロックマン様っ!」
「あああ!だ、抱きつかないで、モレるう・・・!」
    



「え?」
「い、いや、なんでもない!じゃあ!」




ロックマンはルナを地上に下ろすとそのままどこかへ飛んで行ってしまう。




向かった先はもちろん・・・・・トイレ。



ロックマンはトイレの前で電波変換を解き、トイレに飛び込む。     




『オイ、スバル!』
「ゴメン、あとでーーーッッ!」





ウォーロックの言葉を振り切り、便器にしがみつく。     



「・・・ふう、助かったぁ・・・・。」
「ねえ。」
    
「・・・・え?」
「おにいちゃん、今のなーに?」



・・・・・電波変換、見られた!




用を足したままの状態でスバルは凍りつく。
キョトンとした顔でスバルをみつめる幼児。
するとそこへトイレの外から母親らしき人の声が。
    



「なにしてるの〜?デンパ仮面レンジャーショー、始まるわよ〜?」     
「あ〜〜〜〜、まって〜〜!」




ぱたぱた・・・・。
何事もなかったかのように駆けていく幼児。
    



「・・・・・・び、びっくりしたあ・・・っ!」
『ありゃほっといても大丈夫そうだな、・・・しかしヒヤッとしたぜ。』
「全然気付かなかった・・・。気をつけないとなあ・・・・。」
         


『それよりあのムスメのことはいいのか?』
「わ!そうだ、急いで戻らないと!」




慌ててエレベーターのほうへ駆けだすスバル。
エレベーターの中に残されたルナの荷物を持って地上へ下りる。
ルナはロックマンに下ろしてもらったところで放心状態だった。
    


「だ、大丈夫・・・・?」
    
「ロックマン様・・・。あら?」
「どうしたの?どこかケガした?」

「スバル君、ロックマン様は?」
「え?」
「さっき私を助けてくださった方よ!」
「さ、さあ・・・・・。」
    


「ああ、お礼も言ってないのに・・・・」
「(ホッ。よかった、気付かれてないみたいだ・・・。)」




名残惜しそうに空を見つめるルナのうしろでひっそりと胸をなでおろすスバル。
    


「今日は大変だったわねえ、スバル君♪」
「・・・の割には嬉しそうなんだけど。」
「そお?うふふふ・・・」
    
「(怖い・・・)でも今日みたいな無茶、もうしちゃダメだよ。」
「あら、あなたがもっと頼りがいがあれば無茶なんてしなかったわよ。」
    


「・・・・ゴメン。」
    


「さっそうと私を助けてくださったロックマン様・・・♪
・・・あなたも少しは彼を見習ったらどうかしら?」
    
「あはは・・・(見習うも何もボク自身なんだけど・・・)」
    


「なんだか不思議だわ。
こないだ彼に会ったときもあなたとこうして一緒にいたときだったわ。」

「そ、そうだっけ?偶然だなあ・・・・。」

「あなたが学校に来てくれればもっとロックマン様に会えるような気がするわ、
ねえそう思わない?!」
    


「・・・思わない。」     



「んもう!ノリが悪いんだから!」
「ノリの問題じゃないよ、とにかく学校には行かないよ。」
    



「なによ、この強情っぱり!」
「キミに言われたくないよ!」
「なんですってえ?!」





またもにらみ合うスバルとルナ。
火花を散らしてはいるが、スバルの口元は少し笑っている。




デパートの帰り、ルナと別れたあと展望台に立ち寄ったスバル。
星を見上げるその顔はこころなしか少し嬉しそうだ。
    


『なんだよ、随分うれしそうじゃねえか。』
    
「・・・・そうかな。」
『学校とやらに行ってみたらどーだ?
あのムスメもオマエが言うほど悪いヤツじゃねえみてえだしよ。』
    



「・・・・考えとくよ。」




スバルにはめずらしい前向きな返答。
星を眺めたままベンチにすわり、満天の星々を仰ぐ。
    



「うわーー、きれいだなあ。ねえ、ウォーロック?」
    
『・・・そうだな。』     



「いつかボクも宇宙へ行くんだ、必ず・・・!」




瞳を輝かせて星空を見上げるスバルの心は
少しずつではあるが晴れてきているようだ・・・・。








おしまい。2007/10/16 作成38








●あとがきもどき●

トイレ関係で意地張っちゃいけません、マジで。
こやぎも小学校のころに同じような経験があるので、
スバルが必死に堪えてるシーンは書いてて切なくなりました(笑)

今回はとにかくなっさけないスバルですがこれもルナにあやしまれないため。
エレベーターに閉じ込められるネタは前から考えていたのですが
もし尿意がなかったらカッコよくルナをフォローしちゃいますよねえ。

それじゃお話として面白くない。
可哀そうだけど堪えてくれ、スバルたん!(ひでぇ)
でも何かに堪える少年って何とも言えない、そそるものがあ(黙れや)




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