■スバル×ルナ   「抱擁」■



★流星1(ドリーム設定)★

アンドロメダ戦直前のお話。
初めての決戦前ってきっとすっごく怖いんだと思う。
そして、送りだすルナたちもきっとスバルを行かせたくないと思う。
でも、スバルが行かなきゃ地球はおしまい。

皆のために宇宙へ出発するスバルの心境とか、
ルナの複雑な想いとか、考えるだけで萌えMAXです。

弱さを見せつつも勇気を振りしぼって敵に立ち向かう少年最高!














    


「・・・それ、どういうこと・・・・?」





状況がよく飲み込めない。
茫然とした私の様子をみてスバル君は再度説明してくれる。     





「父さんの乗っていた宇宙ステーションの機体の一部がみつかったんだ。
そこからでている電波の道をたどれば宇宙ステーションまで行けるんだ!」     




「・・・おじさまを捜しに行くの?」
    


「うん。でもそれだけじゃない。今地球を襲っている宇宙人たちもそこにいるんだ。
・・・FM星人を放っておくわけにはいかないよ。」





FM星人って・・・。ゴン太や育田先生を怪物にしたり、私に乗り移ったりした・・・?     





「・・・戦うの?」     
「話し合いに応じてくれるような奴らじゃないよ、多分。」     




「・・・・・・・・・・・・・。」





・・・なによそれ。結局スバル君が危険な目に遭うってことじゃない。
うつむいたまま黙り込んだ私に何か声をかけようとするスバル君を遮ったのはゴン太とキザマロの声だった。
    





「あ、あのさ・・・」     
「お〜い!委員長〜!」     
「スバル君〜!」





慌てた様子で駆けてくるふたり。なにかあったのかしら。     




「オイ!スバル、なんで教えてくれないんだよ!」     
「ツカサ君からききましたよ、明日の朝、敵の本拠地へ乗り込むそうじゃないですか!」     


「な、なんですって!?聞いてないわよ、そんなこと!」     
「あ、いや、今から話そうかなって思ってたんだけど・・・・。」     
「っていうか、なんで私よりツカサ君のほうに先に話してるのよ!」     

「ツカサ君は今天地さんのところにいるからね、
宇宙ステーションの修理を天地さんにお願いしてるからそこからの情報だよ。」     




「でも明日の朝だなんて早すぎる・・・・」     
「・・・時間がないんだよ。」





そんなのわかってる。でもなんでスバル君がいかなきゃいけないの?
スバル君はまだ小学生じゃない。地球の危機だかなんだかしらないけど
そんなのは大人にまかせておけばいいんじゃないの?
    





「・・・スバル君じゃなきゃダメなの?」     
「え?」     

「他の大人たちとか・・・そうよ、サテラポリスでなんとかしてもらえないの?」     



「電波の道・・・ウェーブロードを通れるのはボクら、電波生命体じゃないと無理なんだ。
仮に宇宙ステーションまで辿りつけても彼らはただの人間、FM星人には敵わない。」     



「やっぱり・・・スバル君しかいないの・・・?」     
「父さんのこともあるし、ボクが一番適任だよ。・・・ボクがいかなきゃ。」





スバル君の決意は固い。そんなのは彼の表情を見ればわかる。




・・・・・でも。     




「いや!ぜったい行かせないわ!」     
「委員長・・・・。」     

「スバル君だけ危険な目にあわせるなんて、私はイヤよ!」





わがままなのはわかってる。・・・スバル君を困らせるだけだってことも。
でも、スバル君を行かせたくない。     


「・・・委員長の気持ちはわかりますよ。」     
「キザマロ・・・」     




「でも、スバル君が行かないと地球はどうなりますか?」     
「!」     
「宇宙人に殺されてしまってもいいんですか?僕たちはもうスバル君に頼るしかないんです。」     


「スゲェ!めっちゃカッコイイぜ、スバル!」





冷静なキザマロの言葉に返す言葉もでない・・・・・。
スバル君が私を諭すようにやさしく話しかけてくる。     





「キザマロの言う通りだよ。ボクは皆を・・・、キミを死なせたくない。」     
「父さんだって生きているのかわからないけど、少しでも可能性があるのならそれに賭けてみたい。」     

「スゲェ!シブイぜ、スバル!」     



「うるさいわよ、ゴン太!」





    
――――――――ゴッ!!――――――――





怒りのあまり、ゴン太の頭を一撃。


こんなの、ただの八つ当たり。ほんとに許せないのは私自身。
私はなんでこんなに心の狭い人間なんだろう・・・・・・。     







「もう知らない!そこまで言うんだったら好きにしなさいよ!」






この場にいるのが耐えられなくなった。
私は全力でその場をあとにした。     


「はぁ・・・はぁ・・・。」


全力疾走したので息が上がってしまった。足の力が入らない。
道端にへたり込む。    
 





「委員長!」





後ろからスバル君の声がした。・・・追いかけてきたらしい。
へたり込んだ私に駆け寄るスバル君。     





「だ、大丈夫?!どこか痛い?」     
「うるさいわね、放っておいて!」





私に伸ばされたスバル君の手を無理矢理撥ね退ける。
やだ・・・だんだん自分がみじめになってきた・・・・。     


「ごめん、委員長ボク・・・・」     
「あやまらないでよ!余計私がみじめだわ!」


バツの悪そうな顔をする彼をキッとにらみつける。





――――スバル君がいなくなっちゃう-------------






ふと、そんな想いが頭をよぎり、涙がこみあげてくる。
なに縁起でもないこと考えてるんだろう、まだ帰ってこないと決まったわけじゃないのに。




でも・・・スバル君の顔をみていたら涙が止まらなくなってしまった。
声を殺して泣きだしそうなのを堪えているとスバル君に抱きしめられた。
スバル君の手に力がこもる。
私のなかで抑えきれなくなった声と想いが口からこぼれる。     





「ひ・・・、ひとりにしないで・・・・・」





声をあげて泣く私をスバル君はずっと黙って抱きしめていてくれた。



・・・・・私が泣きやむまで、ずっと。



私が泣き崩れた場所がスバル君の家のすぐ近くだったので、スバル君の家にお邪魔させてもらった。
おちつくんだよと言ってスバル君はホットミルクをいれてくれる。     





「・・・・・おちついた?」     
「・・・・・・・・・うん・・。」





リビングのソファに並んで座り、ふたりでミルクを飲む。     





「父さんがいなくなってからしばらくはボク、夜全然眠れなかったり、よく泣いたりしてたんだ。」     
「・・・・・・そう・・・・・。」     
「そんなとき母さんがよくこうやってホットミルクをいれてくれたんだ。」     
「スバル君・・・・・・・。」





不登校時代の彼がどんな気持ちで日々をすごしていたか私は知らない。
自己中心的な私はただ、彼を学校に引っ張り出すことしか考えていなかったから。
でもここでそう言った話を聞けて、嬉しくもあり、複雑な気持ちになった。
スバル君にひとつ問いかけてみる。     






「・・・おばさまそのときどんな気持ちでミルクをいれていたのかしら・・・?」     
「・・・・・・・・母さんだって辛かったよね、きっと・・・。」     


「スバル君がいま辛いと思っているからでしょ?」     
「え・・・・・・。」     
「隠さなくていいわよ。敵の本拠地に行くのに怖くないわけないもの。」     

「・・・・・・・・。」     
「おじさまのことだって最悪の事態を考えたら怖いでしょう?」     



「あはは・・・。やっぱわかっちゃうんだ・・・・。」






苦笑いをするスバル君。・・・本来なら私が支えてあげなきゃいけないのに・・・。
彼に気を使わせてばかりなんて情けなさすぎる。
・・・私もスバル君に何かしてあげたい・・・・・。
    




「・・・私、信じてるから。スバル君のこと。」     
「委員長・・・・?」     
「悪い宇宙人なんかパパッとやっつけておじさまも助けてとっとと帰ってきなさいよね!」     

「うん・・・。そうだね。」     


「・・・ねえ、今なにか私にできることあるかしら?」     
「え?」     
「明日から大変になるでしょう?・・・少しくらいならわがままきいてあげてもいいわよ。」     
「ほ、ほんと!?委員長が?」     



「・・・そんな言い方するならやめるわ。」     



「わわわ!うそうそ!嘘ですっ!」     
「で?どうしてほしいの?」     
「そ、そうだね。じゃあ・・・・・。」   
  



「抱きしめて・・・・欲しいな・・・・。」
「・・・・・私から?」

「う、うん・・・・・・・・(照)」



照れくさそうにうつむくスバル君。
なによ、さっきは躊躇なく私を抱きしめたくせに。
逆なだけでそんなに違うのかしら?



「こ、こう?」



私からっていうのがちょっと恥ずかしいけど
スバル君の身体を引きよせて、抱きしめてみる。




・・・・・・・・・・・・・・・。



さっきはそれどころじゃなくて気づかなかった。
スバル君の肩・・・・・・背中・・・・・・、細い・・・・・。




急にスバル君が愛おしくなった。
抱きしめる手に自然と力がこもる。



「ありがと・・・・・・・・」




そう言うとスバル君も私を抱きしめ返してくれた。

互いの存在を確認しあう・・・・・。そんな感覚。
こんな安らいだ気持ちは初めてかもしれない。


私が幸せをかみしめたそのとき。
スバル君の軽く鼻をすする音が。
不思議に思い、顔をあげてみると涙でぐしゃぐしゃのスバル君の顔がみえた。     





「スバル・・・・君・・・・?」     


「・・・・いやだよ・・・・・・・」     
「・・・いやだ・・・キミと・・・・離れたくない・・・・・っ」     



「・・・・・・こわいよぉ・・・・・・・・っ」






スバルの胸中は不安でいっぱいだった・・・



震えながら私にしがみつくスバル君。
心の中にあった不安を吐き出す彼を私は黙って強く抱きしめた。

私だってスバル君の支えになれるんだ・・・・・・・・・。
    



「ありがと・・・・なんだかスッキリしたよ。」     
「泣くとスッキリするでしょう?」
「うん・・・・。ねえ、委員長っていいにおいするんだね。」
「ちょっ・・・・、やらしいわね!」



「や、やらしくないよっ!ボクそんなつもりじゃ・・・・」
    



「ただいま〜。スバル〜?帰ってるの〜?」     
「あ、母さんだ。・・・放したほうがいいかな。」     
「もうっ!おばさまをびっくりさせちゃうから早く離れて!(恥)」


名残り惜しそうにこっち見ないでよっ!
抱き合ったままおばさまを出迎えちゃったらおばさま、ビックリするじゃないっ!


私の姿を確認すると嬉しそうに声をかけてくれる。


    
「あら、ルナちゃんきてたのね。いらっしゃい。」     
「・・・・こんばんは・・・・。」     

「スバルったらダメじゃない。こんな時間までルナちゃん引き留めて。 外はもう暗いからちゃんと送ってあげるのよ。」     
「わかってるよ。じゃ、行こう。」     
「うん・・・。お邪魔しました。」     
「またいつでもいらっしゃいね。」     
「はい、ありがとうございます。」     


「あ、そうだスバル!」     
「なに?」     
「明日、体操服っている日だっけ?」     

「・・・・うん。3時間目体育だから用意お願い。」





・・・・・・・・・え?明日は朝から宇宙ステーションに行くんじゃ・・・・。




おばさまには黙って行くつもりなの・・・・・?
スバル君の家を出たところで私は彼に尋ねる。     


「・・・・内緒で行くつもりなのね。」     
「母さんが泣くのは父さんのときだけでいいんだよ。」     
「・・・・でも」     

「母さんにとっての明日のボクは、学校帰りにそのままアマケンに行って、
宇宙の話に夢中でアマケンで一晩明かしちゃうってことにするから。
母さんのためにも父さんを連れて帰ってこなきゃ。」



スバル君はほんとに母親思いなのね・・・・・・・・。
こういうところ、すごく大人だなあと関心してしまう。


    
「・・・なるほどね。でもアリバイ工作は万全なんでしょうねえ?」     

「アマケンでのことは天地さんにお願いするよ。・・・・で。」     
「・・・・なによ、その目。」     
「えへへ・・・。学校のほうのことは頼むよ。」     
「まったく!委員長の私にそんなこと頼むなんていい度胸してるわね!」


そんな話をしながら私は家路についた。
・・・・明日はいつものようにスバル君を迎えに行こう。





“学校にいくわよ!はやく準備なさい!”・・・・って。


















おわり。

2007/03/08作成8
2009/07/04改訂版作成







●あとがきもどき●

抱擁ってとても大事なコミニケーションだと思うですよ。
友達同士の親しみを込めてだったり、喜びをわかちあったり。
もちろん恋愛感情の表現の上でもとっても大切。

「大丈夫だよ」「無事で帰ってくるよ」

言葉にはしないけど、抱擁だけで伝わる想い。

いいなぁ(惚)
この萌えたぎるシチュを思い描いた通りに文面化できないのが悔しいなぁ。

実はこの話も18禁指定だったのを手直し。
手直ししたところとしてないところの文面の差がでてもうた・・・・汗





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