■スバル×ルナ   「恋文」■



★流星1(ドリーム設定)★

スバルナラヴラヴドリーム設定小説もどきでゴザンス。
ルナはしっかり者の美人さんなので意外とモテるのではないでしょうか。
・・・・・性格さえもう少し良ければ、ですが(爆)
あまりお近づきでない他のクラスや学年違いの生徒からはモテそう。

んで、スバルは普段ヤキモチとかあんまり妬かなさそう。
こういうことに鈍感なので自覚がないだけかもしれないけど。
横恋慕ってなんでこんなに萌えるのだろう(知るか)












「・・・なにこれ。」









下駄箱の上履きの上にちょんと置かれたこころあたりのない手紙。
ルナは首をかしげつつ、その手紙を手にとってみる。

そこにはお約束とも言える、ハート型の封が・・・・・・・・。










「(もしかして・・・ラブレター??)」









女の子なら1度は憧れるラブレター。
自分には縁遠いものと思いつつもつい期待してしまう。









「おはよう。」     
「きゃっ?!」









急に後ろから掛けられた声に現実に引き戻される。
あわててふりむくとそこにはキョトンとした顔で立っているスバルがいた。










「どうしたの?・・・なにそれ、手紙?」     
「え、ええ・・・そうみたい。靴箱に入ってたの。」     

「ラブレターかな?(笑)」     
「な、なに言ってるのよ!そんなわけないでしょ?」









照れてしまって落ち着きのないルナをからかうように悪戯っぽく尋ねるスバル。
ルナは慌ててスバルの言葉を否定する。

・・・・しかしその場の勢いだけの否定なのでどもりまくりだ。     









「えっと・・・・・じゃあ、果たし状とか・・・?」     
「なんでそうなるのよ!あんまり悪ふざけが過ぎるとこないだのことおばさまにいいつけちゃうわよ?」     
「こないだ?なにそれ?」     
「フン、自分の胸に訊いてみたら?」     









「・・・・・・・・・・・・こころあたりがありすぎてどれかわかりません・・・・・・・・。(汗)」     

「ホント、最低ねあなた・・・・、もう別れちゃおうかしら。」     
「うわわわ!ゴメンなさい!冗談でも笑えないようソレ!」     
「まったくもう・・・。あら?」









慌てふためくスバルをよそにルナは手紙を開封する。
そこに書かれてあったのは2行の短いメッセージと差出人の名前。     









《白金ルナさま   きみが好きです》
《今日のほうかごおくじょうのあずまやで待ってます》                               

《しばたユウイチ》









ルナの胸が高鳴る。冗談で言っていたが、内容は明らかにラブレターだ。
嬉しいやら恥ずかしいやらでまたもルナは真っ赤になってしまう。









「(やだ・・・!ほんとにラブレター!?)」     
「ねえ委員長、はやく教室行こうよ、遅刻するよー?」









先に歩きだしていたスバルが声をかけてくる。
彼はこの手紙のことが気にならないのだろうか?        









「ど・・・、どんな内容だったか聞かないの?」     
「だって、キミにきた手紙でしょ?ボクが読んじゃかわいそうだよ。」









あっさりと流してしまうスバル。ルナは彼のあまりのドライさに不安を覚える。
・・・・・・ちょっとカマをかけてみることにした。     









「そ、それはそうだけど・・・もしラブレターだったらどうするの?」     
「どうもしないよ、だってそれは委員長の問題だし。」     
「な、なによそれ!ちょっと冷たいんじゃないの?!」









少しは気にしてくれると思っていたのに、自分は関係ないよ的な態度を取られ不機嫌になるルナ。
仮にも付き合っているのだからもうちょっと興味を持ってくれてもよさそうなのだが・・・・・・?     









「じゃあボクが“そんな手紙捨てて”って言ったら捨てるの?」     
「・・・・・・・・・。」









スバルの言葉にぎくりとしてそのまま黙り込んでしまうルナ。
やきもちはある程度焼いてくれたほうが嬉しいが、そのようなことを言われては確かに困ってしまう。     









「捨てるなんてできないよ委員長は。」     
「え・・・・・・・・・・・。」

「断るにしても、ちゃんと差出人に会って直接手紙を返すよね。そういう筋はキチンと通すでしょ。」









確かにその通りだ。そういう礼儀は正さないと気がすまない性格なのだ。     









「なによぅ・・・。何でも知ってますみたいなこといわないでよ。」     
「やきもち妬いて欲しかった?(笑)」        


「・・・・っ、バカ!!だいっきらいっっ!!(恥)」     
「あはは・・・・・。(図星か、かわいいなぁ・・・・・・・。)」









真っ赤になり、怒鳴るルナがかわいくて仕方ないスバルはルナの罵声など気にもとめず、 笑顔を浮かべている。









そして放課後。
ルナは手紙の相手と屋上で会っていたため、帰りが遅くなってしまった。
あたりにはもう下校する生徒の姿はなく、静まりかえっている。
ルナが暗くなりはじめた校門の前を通りかかると、校門脇に誰か立っているのがみえた。
その人影はルナの姿を確認するとこちらに歩みよってくる。
暗くて顔は見えないが、ルナにはそれが誰なのかがわかっているようだ。相手の名前を呼ぶ。     









「スバル君・・・・・・。」     
「今日は星がすごくキレイに見えるよ。一緒に展望台行こうよ。」









いつものように天体観測にルナを誘う。
笑顔を向けてくるスバルだが、何かそわそわして落ち着きがない。
その違和感を感じとったのか、ルナはさらりと答える。     









「断ったわよ。」     

「・・・・・・・・そっか。」     
「なによ、その顔は。」     
「あはは・・・・・・・。(やっぱバレちゃったか・・・。)」









そわそわして帰れずにいたところをみると、スバルなりにやきもちは妬いていたようだ。     









「・・・・・・・このバカスバル・・・・・・・。(照)」









照れくさそうにうつむいて悪態をつくルナ。
本当は嬉しくてたまらないのだが、それをスバルに悟られるのは恥ずかしいのだろう。

・・・・・・・でもスバルにはすでにバレバレなワケで。     









「じゃ、いこっか委員長。」     
「な、なにニヤニヤしてるのよ!勘違いしないで!」     

「あいたたた!み、耳ひっぱるのやめて、痛い・・・・・・。」









翌朝の5のA教室。
いつもの登校風景の中にルナの叫びが混じる。     









「な・・・なによこれ!!」









ルナの机の上に絵の具がぶちまけられている。
机の中身も放り出されてバラバラだ。
・・・よくある嫌がらせというやつだ。     









「誰だ!委員長にこんなことしやがるのは!!出てこい!」     
「やめなさい、ゴン太!」









感情的なゴン太はすごい迫力でどなり散らす。
クラスメイト達が怯えているのをみてルナはゴン太を叱りつける。     









「でも、委員長!」     
「私は全然大丈夫よ。皆、授業がはじまる前に片付けするの手伝ってくれるかしら?」      
「さすが委員長!どんなときでも冷静な判断で対処できるなんて素晴らしいです!」     
「当然よ。これくらいできなきゃ次期生徒会長になんてなれないんだから。」









得意気に答えるルナ。しかし、その瞳には動揺の色が隠せない・・・・。

人足もまばらになり始めた放課後。
突如階段にルナの悲鳴が響き渡る。     









「きゃああっ!!」     
「危ない!」









階段から転落するルナをスバルは何とか下で受け止める。     









「あいたたた・・・・。か、間一髪・・・あ!」









階段の上を見上げると一瞬誰かが走り去るのがみえた。
スバルの顔が急に険しくなる。     









「はぁ・・・。はぁ・・・。」     
「委員長、大丈夫?」     

「・・・・・・・・・。(怯)」









さすがのルナもこれには声もでないようだ。
階段からの転落でふたりともかすり傷程度ではあるが怪我をしてしまった。
保健室で傷の手当をしながら対策を練るふたり。     









「・・・やっぱり先生に報告しよう。これはもうボクらだけの問題じゃないよ。」     
「大げさよ。大人の力を借りるまでもないんだから。」     

「さっきのは一歩間違えれば死んでたかもしれないんだ!」









平気そうに答えるが、ルナの声は震えている。
無理に平静を装おうとするルナに向かって声を荒げるスバル。この状況はかなり深刻だ。     









「いや!絶対言わないで!!」     
「なんでそんなに先生に知られたくないの?!」     

「・・・・・・・・。」     
「大丈夫だよ。これくらいでキミが次期生徒会長になれないなんてことは・・・」     

「違うの・・・・。」     
「?」     
「先生に知られたら・・・きっとパパ達にも報告が行くわ。 ・・・もし転校話がまた出たら・・・ここにいられなくなっちゃう。」









ルナにとって何よりも怖いのはここにいられなくなることなのだ。
家庭でずっと寂しい思いをしてきたルナが自分で築き上げた居場所。     









「でも・・・。」     
「・・・もういい。私が犯人を捕まえるわ。それでいいでしょう?」     
「無茶だよ!狙われてるのはキミなのに!」     
「もう!私のことはほっといてよ!」


「委員長!」









そういうとルナは保健室を飛び出してしまう。
廊下を早足で駆けていくルナ。スバルへの苛立ちばかりがこみ上げてくる。     









「スバルのわからずや!私の気持ちも知らないで!」









そのとき、静かな廊下にルナのものとは違う別の足音が響く。     









「・・・・?誰?」 不気味な足音にルナは恐怖を覚える。     









「・・・・・スバル君・・・?」



そうつぶやいたとたん、野球のボールが飛んできてルナのそばの窓ガラスに当たり、 ガラスは大きな音をたてて割れる。     









「きゃあああっ!!」









ルナは悲鳴をあげ、その場を逃げだす。
そのころスバルは保健室から飛び出したルナを探しまわり、 校庭で遊んでいたクラスメイトに声をかけていた。     









「ねえ、委員長見なかった?」     
「ううん、みてないよ。」     
「ありがとう、もし見かけたら教えてくれる?」     
「なになに、星河くんてばまぁた委員長とケンカしちゃったの?」     
「け、喧嘩ってワケじゃないけどちょっと逃げられちゃって・・・・・・・」     

「なにそれえ、なんだかやらしくな〜〜い?!」     
「や、やらしくないよっ!とにかく見たら教えてね!」









クラスの女子にからかわれつつ、その場を後にするスバル。

学校内を逃げ回り、ルナがやってきたのは屋上への非常階段のつきあたり。
通常屋上へはエレベーターを使用するためここは薄暗く、埃っぽい。     









「はぁ・・・はぁ・・・。なんなのよぉ・・・私が何したって言うの・・?」     


「・・・・・教えてやろうか?」     
「!!」









低い声がルナのすぐうしろで響く。     









「・・・っあ・・・!(や、やだ声がでない!助けて・・・!)」









恐怖で凍りついてしまうルナ。     









「ああ、ルナなら非常階段のほうへ走っていくのをみたわよ?」     
「ありがとう!」









クラスメイトの目撃証言を受け、非常階段のほうへとスバルは駆け出す。









ルナを襲ったのはゴン太よりも体格の良い上級生だった。
嫌がるルナの体を無理やり押さえつける。     









「オマエみたいな女がいるから・・・・!」     
「・・・・っ!(きゃああっ!!)」









力まかせにブラウスを引きちぎられ、ルナは悲鳴をあげようとしたがやはり声が出ない。     









「調子にのるな・・・・!」     
「(いやぁ!助けてスバル君!!)」









恐怖で声の出ないルナは心の中でスバルを呼ぶ。 ・・・・・・・そのとき。     









「委員長!!」









スバルの高い声が非常階段に響く。
階段の下にスバルがいて、こちらを睨んでいる。     









「ちっ・・・・!」     
「あ!こら待てっ!うわっ!」









スバルは逃げようとする相手を止めようとするが、体格の差もあり突き飛ばされてしまう。
上級生はそのまま逃げ去ってしまい、悔しそうに歯噛みするスバル。
よろけながらも立ち上がりルナに駆け寄る。     









「委員長、今のヤツに何かされ・・・・・・・・・・・・!!」









ルナの乱れた装いをみてスバルは怒りを覚える。
しかし、怯えているルナを安心させようと、なんとか心を落ち着かせる。     









「大丈夫?・・・じゃないか・・・ちょっと待ってて、なにか羽織るもの・・・」     
「・・・・や・・・」









スバルはそう言って着るものを探しに立ち上がろうとするが ルナに袖をつかまれ、引きとめられてしまう。     









「・・・なに?」     
「ひ・・・、ひとりにしないで・・・・。」
「怖い思いさせちゃってゴメン。でもそのままじゃ風邪ひくから・・・ね?」









震えながらもなんとか声を絞り出すルナ。
スバルはやさしくルナにささやいて彼女の手を解こうとする。・・・が。       









「いや・・・!」     
「うわ・・・・・・、んっ・・・・・・!」









ルナは涙目のままスバルに抱きつき、スバルの唇をふさぐ。     









「んんっ・・・ぷはっ、ちょ、ちょっといいんちょ・・・んぐ・・・」









いきなりのルナからのキスに慌ててしまうスバル。
しかしルナはそんなことおかまいなしだ。
舌を絡める深いキスでスバルの体は反応してしまう。
体の芯からゾクゾクした感覚がこみ上げてきてスバルはキスを中止させる。     









「んん・・・!(や、やばいっ!)・・・ま、待って・・・!ストップ!!」









必死に制止しようとするスバル。ここは学校だ。こんなところで理性を失うわけにはいかない。          









「・・・・・・・・だめ・・・・・・?」
「ううっ!い、いや、そうじゃなくて・・・(ま、まいったなぁ・・)」




背景で遊びすぎた・・・・汗








上目遣いでみつめるルナ。瞳は潤み、胸元ははだけたままだ。
普段はみせることのないルナの甘えの表情・・・・・・・。

スバルの理性は大きく揺らぎ、しどろもどろになりながら考えを巡らす。









「(ど、どうしよう・・・学校でなんてさすがにマズイよなぁ・・・・・・・。 でも、委員長からなんて初めてだし・・・・・・・・・・・。)」









そう、時と場合と自分たちの立場を考えるのだ。









「(・・・放課後だし、誰もこないよね・・・きっと)」









しかしスバルの理性はだんだん本能の波にのまれていく。     









「(・・・て言うかもう無理かも・・・)」









頭が真っ白になっていく。
その頭のなかに残るのはルナのことだけ。     









「スバル君・・・・・・・・・・」









自分を求めてくる愛しの彼女。
彼女に触れたくてたまらなくなる。     









「い、委員長っ・・・!」









こらえきれず、スバルは彼女を思い切り抱きしめる。
もういちどルナと舌を絡めあったとたん、スバルの理性は消え去った。

こんなに強く、お互いを求め合ったことがあっただろうか。
冷静に考えれば、今回のルナの行動は恐怖を紛らわせるための防衛反応だろうが、
今のふたりにはそんなことはどうでもよかった。
深いキスを続けることに夢中になる。



だんだん気分が盛り上がり、ここからといった、そのとき。     









「今、女の子の声が・・・?誰かいるのかー?!」     
「!!(ま、まずい!)」









見回りにやってきた先生のようだ。
階段のかげになってはいるもののふたりの着衣は乱れている。
もしこんな姿を見られてしまったら生活指導どころの問題ではない。
ふたりは懸命に息を殺す・・・・。     









「・・・・気のせいか・・・。」









歩き去る先生の足音を確認してふたりは胸をなでおろす。
大きなため息をひとつはいて身体を離す。     









「あ、あぶなかったぁ・・・・・(冷汗)」
「寿命が3年は縮んだわ・・・・・もう、気をつけてちょうだいよ。」

「誘ってきたのキミなのにそゆコト言うんだ・・・・」
「う、うるさいわね!拒まなかったアナタも同罪よ!」









またも理不尽なことを言い出すルナ。
でも少しいつも調子に戻ったようだ。     









「・・・委員長。」     
「なに?」









乱れた装いを正しつつ、スバルが話しかけてくる。     









「あいつ、確か6年生だよね。」     
「スバル君?!」     
「明日、会いに行こう。なんであんなことしたのか確かめる。」









ルナを促すスバルだが、ルナは突き放すように答えた。     









「・・・あなたはどうもしないんじゃなかったの?そう言ってたじゃない。」     
「え?」     



「ラブレターの件の続きよ。どうするかは私の問題でしょ?」









どうやら犯人は昨日ルナにラブレターを送った人物のようだ。









翌日の放課後。
6年生の教室の前で昨日の人物・・・しばたユウイチを捕まえるルナ。
彼女の希望でタイマンでの対峙をしているが、 昨日のこともあるのでスバルが陰で待機している。
ルナは冷ややかにユウイチを睨みつけ、話を切りだす。









「・・・昨日非常階段にいたのはあなたね?」     
「・・・・・・・・・。」     

「あなたの告白はお断りしたはずだわ。なにかまずかったのかしら?」









「おれが・・・・・。」     
「?」     
「おれがこんなブサイクだからか・・・!」     
「な、なに言ってるの?」









急に態度を急変させるユウイチに少し恐怖を感じるルナ。
でも昨日とは違って近くにはスバルがいる。
怯えた様子をみせず、なおもユウイチを睨みつける。     









「おまえみたいなわがままな女・・・!」     
「きゃ・・・!」




「やめろ!!」









いきなりルナの髪をひっつかむユウイチ。
スバルはすかさずふたりの間に割って入り、ユウイチの手を振りほどく。     









「女のコの髪をいきなりひっつかむなんて強引だな。気持ちはわかるけどもうちょっと穏便にできないのか?」     
「こいつは自分の女だから手ぇ出すなってか?・・・おまえもいい気になるなよ!」     
「くっ・・・・・!」









スバルとユウイチとの取っ組み合いになる。
間近でスバルの面立ちを見つめ、ユウイチは胸の内の不満を吐き出す。     









「生まれつき顔のいいやつは得だよなあ!ハラが立つぜ!」     
「はぁ?!」









その言葉の意味がわからずスバルは後ろへ飛びのきつつ尋ねる。     









「ちょ、ちょっと待てよ!どういうことだよ!」     
「この女は・・・おれを顔が好みじゃないって理由で振ったんだ!!」     



「ええ!?」









急に肩の力が抜けるスバル。
ジト目でルナのほうを見ると明らかにあっちゃ〜という顔をしている。









・・・・また何かやったな、この女は・・・・・?     









「・・・ゴメン委員長、それはあんまりじゃないかなあ?」     

「な、なによ、スバル君までそっちの味方なの?!」     
「断るにしてもさあ・・・もっとこう、ソフトに言えないの?」     

「他に理由が思いつかなかったんだからしょうがないじゃない!」









どうやらルナはユウイチの告白現場でまで意地を張ってしまっていたらしい。
これでは相手の怒りを買ったとしても仕方ないとしかいいようがない。
しかもルナの言葉に不満を募らせたのはユウイチだけではなかった。     









「なんでだよ!あるだろ?ボクと付き合ってんだからさぁ!」









自分の彼女が第三者からの告白を断った。
彼女の口から語られる断りの理由は当然“付き合ってる人がいるから”に決まっている。

・・・・ハズなのだ。他に理由がないなんて言われてはさすがのスバルも不満が募る。









「そ、そんなことみっともなくて言えるわけないじゃない!」









また誤解を招く意地を張ってしまうルナ。
ルナがスバルのことをみっともないなんて思うわけがない。
スバルの“付き合ってる”という言葉に照れてしまい、つい失言してしまったのだ。









・・・・告白されたときくらいは自分に付き合っている人がいることを 恥ずかしがらずに打ち明けてほしいものだ。     









「・・・みっともない?!なんだよそれ!」     
「(し、しまった・・・!)な、なによ、あなた自分のことカッコイイとか思ってるの?!」 









当然のことながらスバルはルナの言葉にムッとして反論する。
しかし、意地っ張りなルナは失言を訂正しようとはせず無理やり貫こうとする。
これではこの先の口論は避けられそうにない。     









「そんなこと思ってないけど、キミにそんな言われ方されるのは納得できないよ!!」     
「あ、あのぉ・・・・(汗)」









スバルとルナの間に火花が散る。
その険悪な空気にユウイチは引いてしまう・・・・。     









「みっともないと思うなら最初から付き合うなよ!」     
「なりゆきでそうなっちゃったんだからしょうがないじゃない!」     
「しょうがないとか言うな!」     

「ふ・・・ふたりとも落ち着いて・・・・(滝汗)」     

「「ちょっと黙ってて!!(怒)」」     
「は、はい・・・・(滝汗)」









ハモるふたりの怒りの声にユウイチはただ縮こまるしかない。
こうなってしまったらもう、ただの意地の張り合いだ。
無意味な口論が続くのみ・・・・。     









「委員長、彼を振ったのは正解だね!数日後に“性格が悪すぎて付き合えない” って逆に振られちゃうだろうからさ!」     
「な、なんですってえ!」     

「(・・・この子と付き合うのはおれには無理だな・・・)」









ルナの性格を目の当たりにし、冷や汗を流すユウイチ。
彼女と付き合うにはスバルのように多少Mっ気がなくてはやっていけないだろう。
そこへ、思い出したかのようにスバルがユウイチに話しかけてくる。     









「でも、委員長にはちゃんと謝って。昨日キミのしたことは許されることじゃない。」     
「・・・・・・・。」     
「こんなコにでも、やっていいことと悪いことがあるから。」     

「こんなコとは何よ!」









スバルの言葉を受けてユウイチはルナの前に歩み寄り、頭を下げる。     









「・・・わ、悪かった・・・・。」     
「わかればいいのよ。仕方ないから許してあげる。」     
「委員長!キミも謝るんだ!」     
「な、何でよ!私はむしろ被害者なの・・・」     

「いい加減にしろ!!」     
「!」









いつもからは想像もできない剣幕で怒鳴るスバル。
ルナはつい涙目になってしまう。     









「ひ・・・、ひどいこと言って・・・ごめんなさい・・・。」









涙目のままユウイチに頭を下げるルナ。
その姿をみて満足したのか、スバルに笑みがこぼれた。     









「・・・これで円満解決だね。さ、帰ろう。」









スバルはうつむいたままのルナの手をとり歩き出す。
歩きながら後ろを振り返り、ユウイチに声をかけるスバル。     









「・・・じゃあね。」     
「・・・・・・・・・。」









ユウイチはスバルの微笑みをただボー然とみつめる・・・・・。










校庭を歩くスバルとルナ。
スバルに手を引かれながら歩くルナはまだうつむいたままだ。     









「さっきは怒鳴ってゴメン。もう泣かないでよ。」     
「な、泣いてないわよう!」     


「・・・そっか。」









ムッとしたような顔でスバルを睨むルナだが まだちょっとなみだ目だ。
スバルはルナを見つめたまま不安げに訊ねた。     









「ねえ、委員長・・・。」     

「・・・なによ。」     
「キミの好みって・・・ボクの顔だけ?」









さっきのユウイチの言葉がずっとひっかかっていたようだ。
彼の言ったことが本当ならルナは外見だけで自分を判断していることになる。     









「・・・バカ?」     
「え?」     
「あなたの顔なんて、良くもなんともないわよ。鏡見たことある?」     




「・・・いい顔だなんて思ってないけどそれひどくない・・・?(泣)」     




「顔は一番妥協したところよ。」     
「ええ!そんなにひどいのボク?!」









十人並みだと思っていた自分の顔をそこまで言われるとスバルも流石に落ち込んでしまう。
ちょっぴりなみだ目になってしまったスバルに、ルナはぼそりと付け加える。     









「あ・・・、あなたのいいとこは・・・顔じゃないでしょ。」     
「え・・・・・・・。」     



「・・・顔なんかよりもずっといいところ・・・あるじゃない。私はそこは妥協しない・・・。」









照れくさそうにソッポを向くルナ。
意地を張っているためやさしい言葉ではないけれど、 ルナはちゃんとスバルの内面をみているのだ。     









「・・・・・・あはっ!」     
「な、なによ、これくらいで喜ぶなんて子供ね?」     
「いいよ、子供だもん♪」









こみあげる嬉しさを抑えられないスバル。
ルナの手を強く握りしめ、校門を出て行く・・・・・・・・。









「・・・なんだコレ・・・。」





翌朝。下駄箱の前で固まってしまうスバル。
スバルの下駄箱のなかにはこれまた、ちょんとおかれた手紙。
こないだのルナの件があるためイヤな予感がバシバシするが、開封してみる。     









《星河スバルさま   きのうはありがとう》
《きのうのお礼をいいたいので》
《今日のほうかごおくじょうのあずまやで待ってます》                               

《しばたユウイチ》     









「お礼ってどういうイミだろう・・・・。」









手紙を開いたまましばし考え込んでしまうスバル。
スバルのアタマの中で昨日ユウイチにつかみかかられたときのことが よみがえってくる。     









「“これは昨日の礼だぜ!”とかいっていきなり殴られたりして・・・・・。」     
「朝から何ブツブツひとりごと言ってるのよ?・・・なにそれ?」









考え込んでいるスバルの後ろからヒョイと顔を出すルナ。     









「い、委員長・・・コレ・・・(汗)」     
「ゲッ!」









差出人の名を見たとたんルナはドン引きし、後ずさる。     









「ちょ、ちょっと何ソレ!男同士でラブレター?!」     



「なんでそうなるの?!コレどっちかっていうと果たし状じゃないの?!」     
「果たし状って文章じゃないわよ、絶対ラブレターよう!」     
「どこをどうしたらそうなるのさ!」     

「私たちを円満解決させたあなたの機転の良さに感動したのかも知れないわ。     
もし私だったら昨日のお礼を言いつつ“私と付き合って”って言う・・・・あっ・・・」     

「ホント?!委員長、昨日のボクに感動してくれたの?!」     
「い、今そんな話じゃないでしょう!」     
「ボク、委員長にそんな風に告白されたら大喜びでオッケーだよ!」     
「話をもどしてよ!とにかく会ってきなさいよ!」     

「ええ〜・・・。あんまり気が進まないんだけどなぁ・・・・。」









果たし状なら殴られる。
ラブレターなら告白される。
どちらにしてもユウイチ相手では気がすすまない。     









「何言ってるのよ!断るにしろとりあえず会って話をするのが礼儀でしょう?!」     



「・・・・・・・・・・はあい・・・・・。」









ルナの言うことはもっともだ。
彼女のこういった几帳面なところは尊敬しているので スバルは手紙を持って放課後屋上へと向かう。









屋上のあずま屋にはすでにユウイチの大きな背中がたたずんでいるのがみえる。
スバルの足音を聴き、振りむくユウイチ。     









「よう。」     
「あ・・・、待たせてゴメンね。」     
「気にするな、呼び出したのはおれのほうだ。」     
「あの、それでこの手紙のことだけど・・・・。」     

「昨日は悪かったな、いろいろイヤな思いさせて。」     
「べ、別に気にしてないよ。あれは委員長も悪いんだし。」     
「今日呼び出したのはお前にちょっと話があって・・・。」     

「・・・・・・な、なに?」









さあ来た。
殴られるのか、はたまた告白されるのか。     









「おれと・・・ブラザーになってくれないか?」     

「・・・え?」     
「お前、見かけはヒョロいけどイイヤツだ。友達になろうぜ。」









・・・・・・・・・困った。


彼の申し出は嬉しいが、彼とブラザーバンドを結ぶとなるとヒミツの交換が必要だ。
さすがに彼にスバルがロックマンだということを知られるのはマズイ。
申し訳なさそうに口をひらくスバル。     









「あ、あの・・・、気持ちは嬉しいんだけどブラザーバンドはちょっとダメなんだ。     
ボク、誰にも言えない大事なヒミツがあって・・・・。でも友達なら全然問題ないよ!」     

「・・・・・大事なヒミツ・・・・・、アレのことか?」     
「え?キミ、ボクのヒミツを知ってるの?!」     
「ああ。さすがにアレは誰にも言えないよな。」     
「ね、念のため何を知ってるのか聞いていい? 正解だったらブラザーになってもいいから・・・・。」









意外や意外。
ユウイチはスバルのヒミツを知ってると言いだした。
普段電波変換は周りに人がいないことを確認してからしているため スバルにはこころあたりがないのだ。
    









「おととい、非常階段でおれがいなくなったあとお前たちが何してたか知ってるぜ。」     

「・・・・・・・・え?」     
「あのあとおれ、しばらく1階の階段近くにいたんだけどよ、下までお前たちの声丸聞こえだったぞ。」     









「ええっっ?!」









とたんに真っ赤になってしまうスバル。
先生に見つかるよりはまだいいが、まさか1階までつつぬけだったとは。     









「どうだ?彼女とえっちいことしちゃってるってのがお前のヒミツだろ?」     


「・・・・・・・・ええと・・・・・・・・。」









違う。スバルのヒミツはこれじゃない。
でもこれも誰にも言えないことには変わりない。     









「そ、それも確かに誰にも言えないんだけど・・・・違うよ。」     
「なにぃ?!じゃあもっとスゴイことしてんのかお前たち?!」     



「そういう意味じゃないよう!」     


「・・・・お前、いろいろスゴイんだな・・・・・。」     

「あの・・・、で、できればこのことはヒミツにしててくれない?     
先生や親にバレたらたぶん委員長と付き合えなくされちゃうよ。」     

「・・・・まあ、いいけどよ。」     
「あ、ありがとう!助かるよ!」     

「でもあんな美人とえっちいことできるなんていいなあ。     
それなら多少性格が悪くたって付き合おうって気になるよなあ。」     


「ボクはそんな理由で委員長と付き合ってるんじゃない!」     
「わ!な、なんだよそんな怒るなよ・・・・。」     


「キミはわかってないよ!確かに委員長は言い方キツいとこあるけどあれは     
自分の気持ちを相手に伝えるのが苦手なだけでホントはすっごくいいコなんだよ!」     

「そ、そうなのか・・・・?」     
「あのコがたまにみせる素直になってくれたときの笑顔ほど     
カワイイものはないよ!こないだなんか初めて甘えてくれたりして・・・・」     

「・・・・・・えーっと・・・・・・・。」









うれしそーにルナのノロケ話をはじめてしまうスバル。
おそらく本人にノロケている自覚はない。
ただルナへの誤解を解きたいだけなのだろう。
しかし、聞かされているほうは微妙な心境だ。     









「・・・・・とりあえず、あのコが本当は優しいコで、お前はあのコにベタ惚れで、     
お前たちふたりの相性は最高だってことはわかったよ。それでいいか?」     

「うん!その通りだよ。わかってくれて嬉しいよ。」     




「・・・・・・・・幸せそーでなによりだ。」









これをバカップルと言わずしてなんと言おうか。
スバルとルナの噂はこうして6年生へと広まっていく・・・・・・・。                                         









おわり。
2007/03/01作成6                                              
2007/10/04 改訂版作成







●あとがきもどき●

「しばたユウイチ」くんはこやぎ作のオリジナルキャラです。
スバルとルナの間に横恋慕するためだけに生まれました(哀れだ・・・)
ルナのピンチに駆けつけるスバル!カッコイイぜ!

これも原文は18禁指定モノでした。
なんかね、そういうのばっか書いてたのよね。このころは。
そういうのが楽しかったっつーか。とにかくヤってしまえ!的な?(最悪だ・・・)
スバルとルナのバカップルっぷりが伝われば良いです。








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