■キザマロメイン    「恩人」■



★流星1(ゲーム設定)★

キザマロメイン。

といってもルナスキーなこやぎですんで
キザマロ視点でルナがどういう女のコなのか、
というのを書いてみたかっただけですが。

キザマロがルナと出会ったばかりのころのお話。
いじめられてたキザマロを助けてあげたなんてカッコイイな!と
感動したのでその勢いで書いてしまいました。













みなさんには恩人と呼べる方がいらっしゃいますか?
親だったり先生だったり友達だったり。
いろいろだと思います。




僕の場合は友達です。




ちょっと我儘で性格キツイんですけど 彼女はとてもすばらしい女性なんです。




・・・ホントですよ。




彼女の名前は白金ルナさん。
人より(ほんの少しだけです!)背の低い僕が
そのせいでちょっとしたイジメに遭っていたんです。




彼女はそのときの僕の救世主でした。
    



「最小院くんは給食の牛乳を残したことないのねえ、偉いわ。」
「はい、身長を伸ばすためならこれくらいの努力は惜しみません!」
    
「さすがね。その心がけを忘れずにね。」
「ありがとうございます、先生!」




むふふ。

これで僕に対する先生の評価は少し上がりましたね。
苦手な体育の穴埋めはこうやって普段からコツコツやるのです!
    



「あれれ?キザマロくんはおっきくなりたいんだってさ〜!」
「そっかあ、じゃーオレたちの分も飲んでくれよ。」





牛乳の嫌いな子供というのは意外に多いんです。ホラ、ここにも。
でも給食というのは全てそろったうえで初めて栄養バランスが取れるよう考慮されているんです。



いくら嫌いだからといって他の人にあげてしまっては意味がありません。



それに僕は人より小柄な分小食。
他の人の牛乳までのんであげるなんてできません。
    



「小学4年にもなって好き嫌いというのは感心できませんね。
それに牛乳は完全栄養食と言われるくらい・・・」
「へえ・・・、チビのくせに口だけはデカイな。」




うう、そうやって身長で威嚇するのはやめてくださいよお。
さすがに今は先生が近くにいるので手は出してこないようですが。




そして放課後。
ホームルームが終わると僕はなるべく早く帰宅するようにしています。
塾の宿題やらセミナーやらいろいろありますので。


でも、それを優先させていたせいで僕には親しい友達がいませんでした。
もうすぐ5年生になろうというのに、ひとりも。
新しいクラスでは気の合う人に出会えればいいな。




・・・願望だけじゃダメだってわかってるんですけどね。
    



「キザマロ、ちょっと来いよ。」
「な、なんですか?僕はこれから・・・」     

「うるせえな、さっさと来いよ!」
    


「えええ〜〜〜っっ?!」



ひどい。嫌がるクラスメイトを無理やり校舎裏に引きずりこむなんて!
でも僕が彼らに腕力でかなうはずありません。
意味なく抵抗して怪我するのだけは避けたい。
大人しく従うしかないんです。
    



「なあキザマロ。お前情報屋なんだってな。」
「はあ・・・。」
「お前の腕を見込んでお願いがあるんだ。いいだろ?」
「なんでしょうか?」





情報屋・・・ですか。
確かに人の噂話やら事件やらを調べるのは好きですけど。

    



「明日の漢字の小テストなんだけどさあ」
「ああ、テストのヤマならわかりますよ。あの先生の出題傾向は調査済みですからね。」
    



「惜しいな、そうじゃないんだよ。」
「はい?」
「ヤマ教えてもらっても勉強しなきゃならねえことには変わりねえだろ。」
    



「ヤマじゃなくて問題と解答が知りたいんだよ。」




えーっと。


それはアレですか。カンニングってやつですか。
テストの意味がまったくなくなってしまいますね。
    



「残念ですがそこまでの情報はわかりかねます。
 生徒に解答が漏れないよう先生のほうもちゃんと管理されてますしね。」
    



「じゃあ調べてこいよ。」
「え?」
    
「お前ならできるだろ。」




無茶苦茶です!
できるできないの問題ではなくやってはいけないことなんです!
いくら脅されようと犯罪まがいなことは無理です。
    



「・・・できません。ヤマなら教えますので自分で勉強してください。」     

「なんだと、このチビ!」
「給食のことといい、ナマイキなんだよ!」     

「ひいいっっ!」




・・・結局暴力には勝てません。


世の中は力のあるものが勝つんです。
仕方なく僕は職員室に人影がなくなるのを見計らって忍び込みます。




ああ、なんで僕がこんなことを。



担任の先生の机の引き出しに明日のテストの答案を発見。
誰かに見つかる前にさっさと・・・。
    



「あなた、そこで何してるの?!」
「ひいいっ!ごめんなさいっ!」



み、みつかっちゃいましたあ!これで僕もおしまいです!
せっかく今まで地道にポイント稼ぎをしてきたのに・・・。



あれ?


僕を後ろから睨みつけているのは先生ではなく女生徒でした。



僕の脳内データベースに接続。



彼女は白金ルナさん。 となりのクラスで委員長を努めているしっかり者。
セットに何時間かかるんだろうとつい眺めてしまう立派な縦ロールの髪。

とても美人だけど性格は相当キツイらしいです。
    



「・・・あなた、となりのクラスの最小院君ね。」
    
「こ、これにはわけがあるんです!その・・・」
「ねえ、あなたカンニングをしなきゃならないくらい成績悪かったかしら?」
「そんなことないですよ!小テストくらい僕にかかれば朝飯前です!」
「そうよねえ。そのあなたがここにいるってことは・・・。」
「ク、クラスの男子に脅されたんです。」
    
「ふうん・・・・。」




縦ロールにセットされた髪をかきあげ、僕の顔を覗きこんでくる彼女。
僕は彼女の視線が痛くてそのまま動けなくなってしまいました。     



「情けないわねえ。そんなだからイジメに遭うのよ。
 一度言うことを訊いちゃったらずっとイジメられ続けるわよ。」     

「で、でも暴力には勝てません・・・」
「あっそう。それじゃいつまでもそのままね。」
    


「・・・・・・・・・・。」



あなたに言われなくたってわかってますよ!
でも、どうしようもないじゃないですか!
    



「そのクラスの男子はどこにいるの?」      


「・・・・・・え?」
「いいから教えなさいよ!」
    


「こっ・・・、校舎裏の花壇の前です・・・」     



「・・・・行くわよ。」
「へっ?」
    


「私の目を盗んでコダマ小学校内でイジメだなんていい度胸してるじゃない。」
「はあ・・・・・。」




どうしましょう。
このひとわけがわからないです。
ていうか相手は男子2人なのにあなたひとりでなんとかなるわけないですよ!     



「おい、キザマロ、テスト問題はどうした?」

「や、やっぱりカンニングなんてよくないですよ・・・」
「その女はなんだ?そいつにそそのかされたのか?」
    



「あなたたち、テストすら自力でできないの?
 ニホン語が読めないなら1年生からやり直したら?」     




「なんだとこのアマ!」
「殴られてえのか!」




ああ、なんでわざわざ相手の神経を逆なでするようなこと言うんですか!
女のコだからって殴られないとは限りませんよ?!
    



「殴りたいのなら殴れば?でももし私に傷のひとつでもつけたら
それを証拠にあなたの親に慰謝料を請求させてもらうわ。
物的証拠が残るうえにここに証人までいるわ。それだけは理解しておいて?」




まったく物おじせず相手を睨みつける彼女。
偉そうな態度もあながちハッタリではなさそうです・・・・!


    
「最小院くんに対しても同じよ。
 私がこのコダマ小学校にいる限りイジメなんてさせないんだから。」     




「くっ・・・!」
「お、おい、もう行こうぜ・・・」




す、すごいです!
口だけで男子2人を退散させてしまいました!
この人カッコよすぎですっっ!
    



「あ、あのっ・・・!」
「なに?」
    


「あ、ありがとうございました!」     



「・・・何笑ってるのよ。」     


「え?」
「だいたいあなたが情けないからこんなことになったのよ!
 自分の尻ぬぐいくらい自分でできない男なんて最低だわ!」
    



「ごごご、ごめんなさい〜〜っっ!」







・・・すみません、前言撤回します。
カッコいいではなくたくましい、でお願いします。








怒らせると非常に脅威的なのですが
それも僕のためを思って言ってくれているんです。








ちょっとわかりにくい優しさですが、彼女はとても優しいんです!



しかも弱い立場の人の味方なのかと思いきや、そうでもないんです。
それは5年生に進級して、彼女と同じクラスになって初めてわかりました。
    



「なんだ、てめえ!何か文句あんのかよ!」
「う、ううん、なんにも・・・!」
「ガハハ、そうだよなあ。お前優しいもんなー♪」




5のAの問題児、牛島ゴン太君。
彼は今までずっとその腕力にものを言わせてきたようです。
彼のそばにいる人たちは彼を恐れながら一緒にいるみたいです。



しかし、そんな偽りの友人関係がうまくいくはずありません。
ゴン太君は進級後まもなくクラスいちの嫌われものに・・・・・・・・。
    



「お、おい、お前なんでオレを避けるんだよ!」     




「だってゴン太君のそばにいるのはイヤなんだ・・・。」
「な、なんでだよ!」
    



「ゴン太君って乱暴だから近づきたくない・・・」
「友達を殴るなんておかしいよ。」
「今度からはゴン太君なしで遊ぼうよ。」
「うん。ゴン太君なんてキライだよ。」
    



「そ、そんなぁ・・・・・・!」



僕に言わせれば自業自得です。
自分の行いが全て自分に返ってきた結果です。
イジメられた側からすればざまあみろです。




でも、クラスの中で彼女だけは違ったんです。
    



「ああもう!何よこの差別みたいな空気!」
    
「でも委員長、ゴン太のヤツにはいいクスリじゃないの?」
「ええそうよ!いいクスリ!でも限度ってものがあるでしょう?!」
「でもさあ・・・・。」
    


「限度を超えたらそれはただのイジメだわ!
 悪いことを悪いことで仕返しするほうがタチが悪いんだから!」




教壇の前でクラス全員を一喝。
そしてゴン太君を教壇に上がらせ、みんなの前で謝罪をさせました。



それからというもの、これに懲りたゴン太君は暴力を振るうこともなく
クラスのみんなとうまくやっています。




あえて問題を挙げるなら・・・・・     


「オイお前!委員長に手え出したらタダじゃおかねえぞ?!」
「え?そ、そんな僕はそんなつもりじゃ・・・」
    
「・・・ちょっとゴン太、何よそれ?」
「委員長にヘンな男が寄り付かねーように守ってるんだ!」     




「・・・・・・・。(呆れ)」




どうやらあの一件でゴン太君は委員長にホレてしまったらしく、
すっかり彼女のナイト気取りです。

委員長にとってはちょっと煩わしいようなのですが
これがゴン太君の誠意だってことがわかっているのか、何も言いません。




そこも委員長の優しさなんですよね。




委員長がいなければ、僕もゴン太君も今頃どうなっていたかわかりません。
だから僕たちは彼女に何か恩返しなるものができないかと
こうして毎日委員長のそばにいるんです。


委員長が次期生徒会長を目指すときいたときも
僕たちは全力でバックアップしようと決意しましたとも。




そして、そこへつながる第一歩。それは・・・。
    






「おはよう、星河スバル君!」     

「・・・またキミたちか。無駄だからさ、帰ってよ。」
「んまあ!何よその言い方は!これはあなたのためなのよ!」





進級以来一度も学校にきていないクラスメイト、星河スバル君を復学させることです!
彼を復学させられればみんなからの委員長の評価は格段にあがるでしょう!


・・・しかし3年も先生たちの手を煩わせてきただけのことはあって
彼はかなり頑固で手ごわいようです。



今日も今日とて委員長と彼のバトルが始まります。     



「あんまりしつこいとストーカー行為で訴えるけど?」
「だ、誰があなたのストーキングなんかするもんですか!
あなたが学校に来てくれさえすれば何も問題ないの!」
「ボクにとっては大問題なんだよ!もうほっといてくれよ!」
    


「オイお前、こんな美人が毎日迎えに来てくれてんだから感謝のひとつもしてみろってんだ!」
「ボク、こんなキツイ女のコやだよ!」
    



「なんですってえ!あなた自分の強情さをタナにあげてよくもまあそんなこと言えるわね!」



・・・やれやれ。
みなさん朝から血気盛んですねえ。
    



「ちょっとキザマロ、あなた何笑ってるのよ!」
「あ、いえ!なんでもないですう!」




ね?僕の恩人は素晴らしい女性でしょう?







おわり。2007/10/12 作成37







●あとがきもどき●

こやぎとしてはちょっと異色のキザマロメインです。
流星1の攻略本に「背が低いせいでイジメられてたキザマロを助けた」
って書いてあって、ルナカッコイイッッ!って感動しちゃったのがきっかけです。
ゴン太だけでなくキザマロも彼女に助けられてたんですね!
そりゃあついていかざるを得ないね★

そんなエピソードからもルナが本当はとても優しい女のコであることがうかがえます。
ちょっとわかりにくい優しさだけど、そこもまた彼女らしい。

そんな彼女が本当に、ほんとうに愛おしいです。










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